松阪カルチャーストリート

松阪の魅力を芸術の力で再発見し、楽しむ。


「松阪カルチャーストリート」は2021年より豪商のまち三重県松阪市で開催している芸術祭です。第四回目となる本年からは、より充実した内容とすべく実行委員会を組織しました。本芸術祭は、皆様に松阪の魅力を芸術の力で再発見し、楽しんでいただくことを目的に開催いたします。

戦国武将・蒲生氏郷が1588年に開府して以来、松阪は商いや学問を軸に文化芸術が花開きました。近世の長谷川治郎兵衛、小津清左衛門、三井高利、本居宣長、曾我蕭白から近代の原田二郎、宇田荻邨、小津安二郎らに至るまで、この地は商人や文人墨客を輩出し、松阪の魅力に惹かれて人が集まる活気ある街の歴史があります。
そのような松阪ゆかりの豪商旧宅や武家屋敷、日本最初の厄除け観音として有名な継松寺をはじめ、市内のミュージアム、カフェやギャラリー、商店街、宿泊施設などさまざまな場所にて作品が展示されます。本芸術祭には地元ゆかりの作家のほか、広く県内外の作家が参加に応じてくださいました。松阪で暮らし、見つめ続ける作家の感性と、松阪を新鮮な角度でとらえた感性とにより、今回のテーマのように、きっと楽しい出逢いや発見があるでしょう。

芸術の世界を通した松阪の魅力の再発見とともに、私たちが目指しているのは、芸術をより身近に親しんでいただくことです。芸術は、生活に様々な刺激や潤いや生きる力を与えてくれる、なくてはならない存在ですが、「松阪カルチャーストリート」がそうした機会の一助になることを願っています。

―「かたち」の発見 ―

松阪の街にさまざまな作品を展示し、いつもとはちがう空間で、芸術と街の魅力を発見する松阪カルチャーストリート。2021年からの毎年開催で、市内外の多くの方にご覧いただきました。

4回目を迎える本年は、松阪市の宝塚一号墳から出土した船形埴輪など合わせて278点が国宝に指定されたという大ニュースにちなみ、メイン会場では立体作品を中心にご紹介します。松阪カルチャーストリート参加経験のある作家を中心に、旧家の風格を生かしたインスタレーション(展示)が行われるとともに、これまでの展示をパネル等で振り返ります。

人はなぜ何かの「かたち」を写し取るのでしょうか。そしてかたちにこだわるのでしょうか。古代から永遠に続いてきた原初的ともいえる「かたち」への欲求に思いをはせながら、今の作家が生み出した芸術を身近に感じていただければ幸いです。

松阪カルチャーストリート実行委員会

歴史につちかわれた松阪

松阪市は三重県の中部に位置し、松阪牛の生産地として知られています。17世紀以降、日本を代表する商人を輩出した商業の町として栄え、現在も三重県下の経済拠点の一つです。市内には、国内最古の土偶が出土した粥見井尻遺跡や西日本最大級の祭祀場を持つ天白遺跡などの縄文遺跡、国内最大の船形埴輪が出土した宝塚古墳などが点在し、原始から開けた地域であったことを物語っています。古代から中世には、都から伊勢神宮へ通じる街道が整備され、また北畠家の城が随所に築かれて、要衝の地として重要な役割を果たしました。近世には、城下町・宿場町として繁栄し、各所に残る武家屋敷や商人街の町並みから、当時の面影を偲ぶことができます。

出典:NPO法人松阪歴史文化舎 https://matsusaka-rekibun.com/

松阪商人の江戸進出と商人文化

1588年、蒲生氏郷は新たに城と城下町を築き、松阪と命名しました。メイン道路沿いには商人を住まわせ、自由に商売ができる制度を布きました。17世紀前期から、松阪商人は江戸や京都・大阪に進出しましたが、18世紀後期には江戸の日本橋界隈で松阪出身者50人が店を構えていました。彼らは、江戸では「伊勢商人」と呼ばれ、日本三大商人の一つとして名をはせます。江戸店では、伊勢地方産の様々な商品を商いましたが、その中でも縞模様の木綿はブランド商品化され、江戸っ子たちに好まれました。出店で稼いだお金は、江戸や京都・大阪の文化や情報とともに松阪にもたらされ、松阪特有の商人文化が芽生えました。

出典:NPO法人松阪歴史文化舎 https://matsusaka-rekibun.com/