立体をつくることは、空間に1つの存在をつくることであって、存在が現れると空気の流れが変わります。製作中に感じるこの感覚が好きです。
1000年以上昔、奈良時代に仏像制作の技法として用いられ、時代が変わる頃には、木彫と入れ替わるようにして衰退した乾漆彫刻。
当時とほぼ変わらない方法や材料を使い、時間と手間をかけるこの技法は、タイムスリップしてきたかのような技法です。 時代の流れや技術の進歩に乗らず、独特の有り様のまま現代に復活した乾漆彫刻は、人がもつ創作欲や、自然がもたらす素材の力を示してくれます。作品を通して、その魅力も伝えていきたいと思います。
Profile
2010年 名古屋芸術大学大学院 修了
生き物などをモデルにして乾漆彫刻の制作を続け、彫刻家として個展を中心に活動している