松阪の写真家 魚住 誠一

魚住誠一は大正期から昭和前期にかけて地元松阪を拠点に活躍した写真家です。当時の写真界は絵画的な画面効果や構図を取り入れ、芸術性を高めた「ピクトリアリズム」(絵画主義)が流行し、魚住もその影響を受けながら独特の質感をもつブロムオイル印画法(銀塩白黒写真の銀をインクに置き換える版画のような技法)を用いた作品を多く残しました。今回は、その原板であるガラス乾板より91点を選りすぐり、デジタル画像でご紹介します。

魚住は風景、人物、静物と様々な題材に取り組んでいますが、その中には松阪の町が題材となっているものも何点か含まれています。本居宣長旧宅、日野町界隈、祇園祭、三重県立工業学校(現在の三重県立松阪工業高等学校)、西黒部尋常高等小学校(現在の松阪市立西黒部小学校)、松阪警察署東岸江巡査派出所など、当時の松阪を知るうえでの貴重な資料であるだけでなく、写真の構図、明暗の配分、そこに通底する写真家魚住誠一の詩的なまなざしが、当時の風景や人々の生きた証を鮮明に映し出しています。

松阪ゆかりの写真家・魚住誠一さんの作品の映像上映は「旧長谷川治郎兵衛家」での開催となります。(上映時間 10分10秒)※旧長谷川邸離れ使用時は上映お休みしております。

画像提供:三重県立美術館(解説:田中 善明)

Profile

1894 松阪市日野町の和菓子店に生まれる。
1918 ミニマム写真会主催 第4回 品評会で《春浅し》が4等賞受賞。
1921 三重県写真競技大会で《ゆうづく日影》が1等賞受賞。 
1924 第13回東京写真研究会展で《北寺》が2等受賞。
   第65回日本美術協会展で《施食台下》が3等賞受賞。
1925 第14回東京写真研究会展で《白亜樹下》が2等賞受賞。
   この年より数度、上海に転勤した妹一家を尋ね、中国各地を撮影。
1929 第18回東京写真研究会展で《樹影鯉魚》が銀賞受賞。
1930 神都博内写真競技会にて二等二席となる。
   第82回日本美術協会展で《大和の印象》が銅賞受賞。
1933 第22回東京写真研究会で《籬の秋》が銅賞受賞。
1946 写真材料商を開業。ヒコバエ写友会を創設し、指導にあたる。
1950 病のため自宅にて逝去。松阪市中町の清光寺にて魚住誠一遺作展開催。
1975 津市の石水会館にて「魚住誠一 市橋士朗 遺作写真展」開催。
2010 渋谷区立松涛美術館にて「魚住誠一写真展 : ブロムオイルの美学」 開催。
2015 三重県立美術館にて「受贈記念 魚住誠一写真展」開催。